注文住宅で家を建てる時は、まず土地を用意する必要があります。しかし、理想通りの土地を探し出すのは至難の業です。そこで、土地の候補を絞っていくうえで大切なポイントについて解説していきます。
1. 自分の理想の暮らしを明確にする
土地探しにおいて、初めにするべきことは自分の理想の暮らしを明確にすることです。理想の暮らしを具体的にイメージすることで、どのような土地が自分に合っているのかを見極める手助けになります。以下のポイントを考えて、理想の暮らしを描いてみましょう。
ライフスタイルを考える
ライフスタイルを考えることで、どのような立地が最適かを判断することができます。例えば、アウトドアや自然が好きな方であれば、緑が多く静かな地域が好ましいでしょう。一方、都会の利便性を求める方であれば、商業施設や交通アクセスの良い地域が適しています。また、テレワークをしている場合や、自宅で趣味に時間を使いたい場合など、自分の生活スタイルに合わせた土地を選ぶことが重要です。
家族のニーズを考慮する
家族のニーズを考慮することも、理想の土地選びの重要なポイントです。例えば、子供がいる場合は、良好な学区や遊び場、公園が近くにあることが重要です。また、高齢の親と同居する場合は、医療施設が近くにあることが望ましいでしょう。一方で、家族全員が快適に過ごせる環境を提供するために、周辺の騒音や治安についても確認することが必要です。
自分のライフスタイルと家族のニーズを明確にすることで、土地探しのコツを掴みやすくなります。また、希望条件に優先順位をつけることで、最適な土地の探し方を見極められるでしょう。工務店や不動産業者と相談しながら、理想の暮らしを実現するための土地を見つけることが大切です。
2. 希望のエリアを決定する
土地探しを始める際、まず効果的に希望のエリアを決定することが重要です。自分と家族のライフスタイルや将来の計画を考慮し、どのエリアが最適かを明確にすることが求められます。ここでは、希望のエリアを決定するためのコツをいくつか紹介いたします。
生活に便利な場所
生活の質を向上させるためには、生活に便利な場所を選ぶことが基本です。近くにスーパーマーケット、病院、学校などの日常生活に必要な施設が揃っているエリアが理想だといえます。また、交通の便が良いかどうかも検討しましょう。
職場との位置関係・学区の確認
通勤や通学の利便性もエリア選びの大きなポイントです。職場や学校へのアクセスを考慮し、ストレスのない移動手段が確保できるかを確認しましょう。また、子供がいる家庭では、学区の評判も重要な要素となります。希望する学区がある場合、そのエリアが土地の候補となります。
将来の発展性を考える
エリアの将来の発展性を考えることも大切です。都市計画や開発計画が進行中のエリアは、将来の資産価値が高まる可能性があります。これにより、将来的に土地の価値が上昇しやすくなるため、投資としても魅力的です。このような発展性を考慮することで、ただ単に現在の利便性だけでなく、長期的な視点で満足のいく土地を見つけることができます。
3. 交通アクセスを確認する
家から職場、学校、スーパー、病院などへの交通アクセスが悪くないかを確認することも欠かせません。自家用車で行動するのか、公共交通機関を利用するのかによって大きく変わってきます。
通勤・通学の利便性
朝のラッシュ時には予想以上の時間がかかることが多いため、自宅から職場や学校までの所要時間を調べておくと良いでしょう。最寄りの駅やバス停からの距離も大切なポイントです。これらを考慮することで、日常生活のストレスを減少し、快適な暮らしが実現できます。
公共交通機関の有無
電車やバスの路線が整備されているエリアは、移動が便利であるだけでなく、将来的な資産価値も上がりやすい傾向にあります。インフラが整っている土地を選ぶことは、注文住宅を建てる際にも重要ですし、土地探しのコツとも言えます。また、夜遅くまで運行しているか、利用可能な便数が多いかどうかも確認すると良いでしょう。
4. 周辺環境をチェックする
理想的な土地を見つけるためには、周辺環境のチェックが欠かせません。静かな環境や近隣の施設とサービスが充実しているかどうかを確認することは、快適な生活を送るために重要です。以下では、特に注目すべきポイントを詳しく解説します。
静かな環境
土地探しのコツとして、静かな環境を見極めることは非常に大切です。特に夜間の騒音や交通量が気になる場合は、実際に足を運んで確認することをおすすめします。また、工務店や不動産業者から地域の騒音情報を聞くのも良い方法です。静かな環境は、ストレスの少ない快適な生活を実現するための第一歩です。
近隣の施設とサービス
理想の土地を選ぶ際には、近隣の施設とサービスが便利であるかどうかも重要なポイントです。日用品を揃えるスーパーやドラッグストア、医院や公共施設などが近くにあると、生活が非常に便利になります。不動産業者や地域の情報を参考にしながら、理想の土地の探し方コツを押さえましょう。
5. 土地の形状と面積を確認する
土地の形状と面積は非常に重要なポイントです。理想の注文住宅を建てるためには、土地の形状や広さが建築計画に適しているかどうかを確認することが不可欠となりますので、しっかりと条件を確認しておきましょう。
整形地かどうか
整形地とは、長方形や正方形のように比較的シンプルで把握しやすい形状の土地を指します。このような土地は、建物を建てやすく、デザインの自由度も高いです。逆に、不整形地はそのままでは使用しづらい場合が多く、造成費用や建物の設計費用がかさむ場合があります。土地の形状が注文住宅設計に与える影響を念頭に置き、適切な土地かどうかを工務店や専門家に相談すると良いでしょう。
利用可能な広さ
土地の面積だけでなく、その利用可能な広さも重要です。例えば、土地の一部が斜面や砂地である場合、その部分は建築に適さないことがあります。実際に使える敷地面積がどの程度であるかを確認し、その上でどのような建物が建てられるかを具体的に考えることが大切です。必要に応じて現地に足を運び、物理的な確認をすることも土地探しのコツの一つです。
前面道路の幅
前面道路の幅も土地選びには重要な要素です。道路の幅が狭いと、大型車両や建築機材の搬入が難しくなり、建築作業に支障をきたす可能性があります。また、道路幅が十分であれば、駐車スペースの確保や安全な交通出入りが可能です。工務店や不動産業者に相談して、前面道路の幅に関する注意点を詳しく確認しましょう。
6. 日当たりと風通しを考える
土地選びには日当たりや風通しも大切な要素となります。日当たりに影響する方角は、風水や家相を木にされる方にとっても重要ですので、強いこだわりがある場合は妥協点を考えながら土地探しに取り入れていきましょう。
南向きや東向きの土地が人気
土地探しをする際に、多くの人々が重視するのが日当たりの良さです。特に南向きや東向きの土地は、日中にたっぷりと太陽の光を取り入れることができ、暖かさと明るさを確保できるので人気も価格も高い傾向にあります。
一方で北道路の土地や西向きの土地は、リビングに十分な日差しが差し込まない・西日が暑いといったデメリットが目立つ分価格が抑えられています。日中は仕事や学校で留守にしていることが多い家庭や、庭のプライバシーを確保したい家庭ではねらい目です。
風の通り道
土地の位置や形状、周囲の建物や樹木の配置も風通しに影響を与えます。例えば、建物が密集しているエリアでは風が通りにくくなることがあります。したがって、現地に足を運び、実際に風がどう通るかを確認することが大切です。設計の段階で風通しを考慮した間取りを工務店と一緒に考えることもできます。理想の土地を見つけるために日当たりと風通しの両方をしっかり確認することが、理想の生活を実現する大きなステップになります。
7. 地盤の強度と災害リスクを調べる
土地を探す際は、地盤の強度と災害リスクを確認しておくことが大切です。注文住宅を建てる際、地盤が弱いと建物が傾いたり沈んだりする可能性があります。また、災害リスクを把握しておくことで、安全な暮らしを実現することができるでしょう。
地盤調査の重要性
地盤調査を行うことで、その土地が建築に適しているかどうかを判断できます。強度が不足する場合には、地盤改良工事を行うことで安全に建築を進めることが可能です。
地盤調査は土地の契約・決済が済んでから行われることが多いので、土地探しの段階ではどうなるかわからない部分でもあります。無料の地盤データマップの活用や、過去の航空写真を確認するなどして、地盤が弱そうな地域を想定することは可能です。また、売主が過去の地盤調査結果を見せてくれたり、契約前に地盤調査をさせてくれたりする場合もあります。より確実に準備するのであれば、家の建築予算に地盤改良工事費用を確保しておくようにしましょう。
過去の災害履歴
土地の購入前には、過去にそのエリアで発生した災害履歴を調べることが重要です。地震、洪水、土砂災害などのリスクが高い地域では、対策が必要となります。地方自治体のウェブサイトや防災マップを参考にし、その土地がどの程度の災害リスクを抱えているのかを確認しましょう。災害リスクが高い土地は価格が低い場合もありますが、安全性を優先することが望ましいです。
8. インフラの整備状況を確認する
土地探しのコツの一つとして、インフラの整備状況を確認することは非常に重要です。分譲地の場合はインフラも含めた造成が済んでいる場合もあります。空き地の場合は水道の引き込みからすることになるので、予算も多めに必要になるでしょう。
水道・電気・ガスの供給
まず、水道・電気・ガスといった基本的なライフラインの供給状況を確認することが必要です。新しく購入する土地にこれらのインフラが整っているかどうかを調べましょう。
水道、下水道、都市ガスなどは引き込みのための本管から距離があると工事費がかさむ可能性があります。また、下水道が整備されていない区域では、浄化槽の設置が必要です。土地の一部が浄化槽スペースとなることも踏まえた間取りプラン作成が必要となります。
引き込みに費用がかかりそうかどうかは、不動産屋が事前に把握していたり、水道局などで確認できたりします。土地の契約前にある程度はわかるので、よく確認しましょう。
通信インフラ
現代の生活において、インターネットや携帯電話などの通信インフラも欠かせない要素です。土地を探す際には、この通信インフラについても確認しておくべきです。特に、テレワークが普及している現代において、インターネットの高速回線が整備されているかどうかは重要なポイントとなります。
多くのエリアでは通信環境が整いつつありますが、郊外や山間部などではまだ高速通信が利用できない地域もあります。そのため、希望する土地があるエリアの通信インフラ状況を事前に調査しておきましょう。これにより、後々の不便さを避けることができます。
土地選びは70点を目標にして完璧を求めすぎないことが大事
誰しも理想通り100点の土地に出会えるわけではありません。予算の問題や学区の問題などで、より100点に近い土地はあきらめなければならない可能性があります。
そこで、土地選びでは70点を目指すようにしてみましょう。例えば、「小学校には通いやすいが中学校は少し遠い」といった時間の経過で解消される懸念点については家族で話し合って妥協できる条件として整理してみるものよいのではないでしょうか。